現代のThe労働映画
「フジヤマコットントン」を機に、青柳拓監督の前作をアマプラでレンタルして鑑賞しました。コロナ禍の東京で、青柳拓監督が自らUber Eatsの配達員として働く日々を描いたドキュメンタリー映画です。
自転車にセットされたスマホから撮った映像は、まるで私たちが自転車に乗って、ペダルを漕いでいるような感覚が湧き上がってきます。監督が迷い、揺れて、悩み（というよりも「考え抜く」というほうが適切か）、それでも走り続ける日々が描かれています。
私にとって印象的なのは、過酷ともいえる就労環境以上に、その環境の中で生きる青柳監督の魅力、故郷 山梨や東京での知人・友人たちとの関係性です。"壮絶"に終始しないこの映画は、監督の人間的な魅力あってこそで、「フジヤマコットントン」を観てその答え合わせができたような気がしました。
「働くってなんだ」「稼ぐってなんだ」
失われた30年を取り戻すような経済状況が日々報道されて、「過ぎ去った一時期」のようになっている「コロナ禍」を改めて振り返り、今、私たちが忘れていけないものを確かに刻んでいる「The 労働映画」でした。
＊私は、青柳監督が和田靜香さんと対談した「ポリタスTV」を観て、「青柳ワールド」に足を踏み入れた一人です。
